古文
仏師の魂と大臣の慧眼
4回解答
難しい
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古文
仏師の魂と大臣の慧眼
4回解答
難しい
名もなき仏師《ぶつし》
[1] 今は昔、京の七条あたりに、慶心《けいしん》といふ仏師ありけり。①その技、神の如しと隠れなき名人なりしかど、世渡り拙《つたな》く、コネもなければ、あばら屋に籠もりて、食ふにだに窮するありさまなりき。されど、慶心、それを恨むことなく、ただ一心に鑿《のみ》を振るひ、仏を彫りてのみ月日を送りけり。
[2] そのころ、左大臣藤原実房《さねふさ》公、東国より帰りたまふ道すがら、夢見悪しとて、(ア)とある古寺に立ち寄り、祈念したまふ。本堂の隅に、古びたる厨子《づし》【注1】あり。何心なく開けて見たまふに、中に、いまだ作りかけなる観音の像一体あり。②その御顔の、慈悲深く、優美なること、えも言はず。実房公、しばし言葉も出でず、ただその像に見入りたまひけり。
[3] 実房公、寺の老僧を呼びて、「この仏は、誰が作ぞ」と問ひたまへば、「これは、寺の修理のために、七条の慶心といふ仏師に頼みしもの。されど、布施も尽き、(イ)かれこれ三年、このままに置かせたまふなり」と答ふ。大臣、「③かかる名匠を、世に埋もれさすべきにあらず」とて、多くの金を寺に寄進し、重ねて慶心に、この観音像を完成さするやう命じたまふ。
[4] その後、慶心は大臣の庇護《ひご》を受け、その腕を存分に振るひ、数々の名仏を世に残し、後世にまでその名を伝えたり。(ウ)まことの才能は、いつか必ず、それを見抜く人に出会ふものなりけり。
【注1】厨子:仏像などを安置する、両開きの扉がついた箱形の仏具。
【補助資料:物語の展開】
表:登場人物と役割
| 人物 | 身分・職業 | 性格・特徴 | 物語での役割 |
|---|---|---|---|
| 慶心 | 仏師 | 腕は神業だが、世渡り下手で貧乏。 | 才能がありながら不遇な芸術家。 |
| 実房公 | 左大臣 | 信仰心篤く、芸術を見抜く眼を持つ。 | 慶心の才能を見出す後援者(パトロン)。 |
| 老僧 | 古寺の僧侶 | — | 慶心と実房公とを繋ぐきっかけを作る。 |
出来事の時系列
傍線部①「その技、神の如し」と評される慶心が、貧しい生活を送っていたのはなぜか。本文から読み取れる理由として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部②「その御顔の、慈悲深く、優美なること」に感動した実房公の心情を表す言葉として、この文脈で最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部③「かかる名匠を、世に埋もれさすべきにあらず」という実房公の言葉に込められた意図として、最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部(ウ)「まことの才能は、いつか必ず、それを見抜く人に出会ふものなりけり」とあるが、この一文がこの物語全体の中で果たしている役割として、最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
この物語で起こった出来事を、(ア)~(エ)として時間順に並べたとき、その順序として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
並べ替える出来事:
名もなき仏師《ぶつし》
[1] 今は昔、京の七条あたりに、慶心《けいしん》といふ仏師ありけり。①その技、神の如しと隠れなき名人なりしかど、世渡り拙《つたな》く、コネもなければ、あばら屋に籠もりて、食ふにだに窮するありさまなりき。されど、慶心、それを恨むことなく、ただ一心に鑿《のみ》を振るひ、仏を彫りてのみ月日を送りけり。
[2] そのころ、左大臣藤原実房《さねふさ》公、東国より帰りたまふ道すがら、夢見悪しとて、(ア)とある古寺に立ち寄り、祈念したまふ。本堂の隅に、古びたる厨子《づし》【注1】あり。何心なく開けて見たまふに、中に、いまだ作りかけなる観音の像一体あり。②その御顔の、慈悲深く、優美なること、えも言はず。実房公、しばし言葉も出でず、ただその像に見入りたまひけり。
[3] 実房公、寺の老僧を呼びて、「この仏は、誰が作ぞ」と問ひたまへば、「これは、寺の修理のために、七条の慶心といふ仏師に頼みしもの。されど、布施も尽き、(イ)かれこれ三年、このままに置かせたまふなり」と答ふ。大臣、「③かかる名匠を、世に埋もれさすべきにあらず」とて、多くの金を寺に寄進し、重ねて慶心に、この観音像を完成さするやう命じたまふ。
[4] その後、慶心は大臣の庇護《ひご》を受け、その腕を存分に振るひ、数々の名仏を世に残し、後世にまでその名を伝えたり。(ウ)まことの才能は、いつか必ず、それを見抜く人に出会ふものなりけり。
【注1】厨子:仏像などを安置する、両開きの扉がついた箱形の仏具。
【補助資料:物語の展開】
表:登場人物と役割
| 人物 | 身分・職業 | 性格・特徴 | 物語での役割 |
|---|---|---|---|
| 慶心 | 仏師 | 腕は神業だが、世渡り下手で貧乏。 | 才能がありながら不遇な芸術家。 |
| 実房公 | 左大臣 | 信仰心篤く、芸術を見抜く眼を持つ。 | 慶心の才能を見出す後援者(パトロン)。 |
| 老僧 | 古寺の僧侶 | — | 慶心と実房公とを繋ぐきっかけを作る。 |
出来事の時系列
傍線部①「その技、神の如し」と評される慶心が、貧しい生活を送っていたのはなぜか。本文から読み取れる理由として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部②「その御顔の、慈悲深く、優美なること」に感動した実房公の心情を表す言葉として、この文脈で最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部③「かかる名匠を、世に埋もれさすべきにあらず」という実房公の言葉に込められた意図として、最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部(ウ)「まことの才能は、いつか必ず、それを見抜く人に出会ふものなりけり」とあるが、この一文がこの物語全体の中で果たしている役割として、最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
この物語で起こった出来事を、(ア)~(エ)として時間順に並べたとき、その順序として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
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