古文
和歌の師弟問答と創作の秘訣
3回解答
普通
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古文
和歌の師弟問答と創作の秘訣
3回解答
普通
古き詞《ことば》、新しき心
[1] 俊成《としなり》卿【注1】に、若き歌詠み、問ひて申すやう、「歌を詠むに、①古人の歌の姿を学ぶべきと承りながら、ただその真似ばかりしては、己が歌とはなりがたし。いかゞすべきにや」と。卿、これを聞きて、「(ア)まことに、そは歌の道に迷ふ者、誰もが通る関なり。」とて、かく教へたまひけり。
[2] 「たとへば、ここに古き衣《ころも》ありとせよ。その織りや染め、まことに優れて、時代を経てなほ美しきを、人は貴ぶ。されど、②その衣をそのまま着て、我と顔にて街を歩まば、人は何とか言はむ。物笑ひの種となるこそ必定なれ。」
[3] 「歌もまた同じ。古歌の優れたる詞や調べを、骨格として学ぶは、いと肝要なり。されど、そを血肉とし、(イ)おのれが今の世に生きる心のたぎりを注ぎ入れてこそ、初めて新しき命は宿らめ。古き詞に、新しき心を盛る。これぞ、歌詠みの道に、永く伝ふるべき奥義なる。」
[4. ]若き歌詠み、③この教へに、積年の靄《もや》の晴るる心地して、いとありがたく思ひて、退出したりけるとぞ。
【注1】俊成卿:藤原俊成(しゅんぜい)。平安時代末期の代表的な歌人。幽玄の美を追求した。
【俊成卿の教えの要約】
| 比喩 | 歌論における意味 |
|---|---|
| 古き衣 | 古歌の優れた表現や調べ(形式・技巧)。 |
| 衣をそのまま着る | 古歌の表面的な模倣に終始すること。 |
| 血肉とする | 古歌の技術を完全に自分のものとして消化すること。 |
| 今の世に生きる心のたぎり | 作者自身の、現代を生きる中での新鮮な感動や感情。 |
| 新しき命 | 古歌の伝統を踏まえつつ、作者自身の個性が発揮された独創的な歌。 |
結論:伝統(古き詞)を骨格として学び、そこに自身の現代的な感性(新しき心)を注ぎ込むことで、真に価値のある歌が生まれる。
傍線部①「古人の歌の姿を学ぶべき」とあるが、若き歌詠みは、そのことについてどのような悩みを抱えているか。次の中から一つ選べ。
傍線部②「その衣をそのまま着て」という比喩は、歌を詠む上でどのような行為を指しているか。最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
俊成卿が説く、良い歌を詠むための「奥義」とはどのようなものか。その説明として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部③「この教へに、積年の靄の晴るる心地して」とあるが、この時の若き歌詠みの心境として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
古き詞《ことば》、新しき心
[1] 俊成《としなり》卿【注1】に、若き歌詠み、問ひて申すやう、「歌を詠むに、①古人の歌の姿を学ぶべきと承りながら、ただその真似ばかりしては、己が歌とはなりがたし。いかゞすべきにや」と。卿、これを聞きて、「(ア)まことに、そは歌の道に迷ふ者、誰もが通る関なり。」とて、かく教へたまひけり。
[2] 「たとへば、ここに古き衣《ころも》ありとせよ。その織りや染め、まことに優れて、時代を経てなほ美しきを、人は貴ぶ。されど、②その衣をそのまま着て、我と顔にて街を歩まば、人は何とか言はむ。物笑ひの種となるこそ必定なれ。」
[3] 「歌もまた同じ。古歌の優れたる詞や調べを、骨格として学ぶは、いと肝要なり。されど、そを血肉とし、(イ)おのれが今の世に生きる心のたぎりを注ぎ入れてこそ、初めて新しき命は宿らめ。古き詞に、新しき心を盛る。これぞ、歌詠みの道に、永く伝ふるべき奥義なる。」
[4. ]若き歌詠み、③この教へに、積年の靄《もや》の晴るる心地して、いとありがたく思ひて、退出したりけるとぞ。
【注1】俊成卿:藤原俊成(しゅんぜい)。平安時代末期の代表的な歌人。幽玄の美を追求した。
【俊成卿の教えの要約】
| 比喩 | 歌論における意味 |
|---|---|
| 古き衣 | 古歌の優れた表現や調べ(形式・技巧)。 |
| 衣をそのまま着る | 古歌の表面的な模倣に終始すること。 |
| 血肉とする | 古歌の技術を完全に自分のものとして消化すること。 |
| 今の世に生きる心のたぎり | 作者自身の、現代を生きる中での新鮮な感動や感情。 |
| 新しき命 | 古歌の伝統を踏まえつつ、作者自身の個性が発揮された独創的な歌。 |
結論:伝統(古き詞)を骨格として学び、そこに自身の現代的な感性(新しき心)を注ぎ込むことで、真に価値のある歌が生まれる。
傍線部①「古人の歌の姿を学ぶべき」とあるが、若き歌詠みは、そのことについてどのような悩みを抱えているか。次の中から一つ選べ。
傍線部②「その衣をそのまま着て」という比喩は、歌を詠む上でどのような行為を指しているか。最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
俊成卿が説く、良い歌を詠むための「奥義」とはどのようなものか。その説明として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部③「この教へに、積年の靄の晴るる心地して」とあるが、この時の若き歌詠みの心境として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。