漢文 原文
[1] 昔、斉王好二奇巧之物一。有レ工匠献二一木鳥一。其鳥能舞能鳴、其声宛然、猶レ真鳥之善鳴者一。王大悦、置二之玉籠一、終日玩レ之。国中之工、皆倣レ之、而莫レ能レ及。
[2] 一日、王猟於郊。聞レ鶯声、清越可愛。王命レ左右捕レ之、然終不レ可レ得。王悵然。帰宮、聞二木鳥之声一、忽有レ厭然之色。謂レ左右曰、「此鳥之声雖レ巧、非レ出二於自然一。」
[3] 乃命レ破二其籠一、放レ木鳥。曰、「吾乃今知レ之。天下之至美、在二於天工一、而不在二人力一。何不レ舎レ巧而帰レ朴乎。」
書き下し文
[1] 昔、斉王奇巧の物を好む。工匠有りて一木鳥を献ず。其の鳥能く舞ひ能く鳴き、其の声宛然として、猶ほ真鳥の善く鳴く者のがごとし。王大いに悦び、之を玉籠に置き、終日之を玩ぶ。国中の工、皆之に倣ふも、能く及ぶ莫し。
[2] 一日、王郊に猟す。鶯の声を聞くに、清越にして愛すべし。王左右に命じて之を捕へしむるも、然れども終に得べからず。王悵然たり。宮に帰り、木鳥の声を聞き、忽ち厭然の色有り。左右に謂ひて曰はく、「此の鳥の声巧みなりと雖も、自然より出でたるに非ず。」と。
[3] 乃ち命じて其の籠を破り、木鳥を放つ。曰はく、「吾乃ち今之を知る。天下の至美は、天工に在りて、人力に在らざるなり。何ぞ巧を舎てて朴に帰らざるや。」と。
【注1】奇巧(きこう):珍しく、精巧に作られていること。
【注2】宛然(えんぜん):そっくりであるさま。あたかも。
【注3】清越(せいえつ):声が清く澄んで遠くまで響くさま。
【注4】悵然(ちょうぜん):がっかりして、意気消沈するさま。
【注5】天工(てんこう):自然の働き。造物主の仕事。
【注6】朴(ぼく):飾り気のない、素朴な状態。
傍線部「其声宛然、猶真鳥之善鳴者一」について、木鳥の鳴き声がどのようなものであったと説明しているか。最も適切なものを一つ選べ。
傍線部「此鳥之声雖巧、非出於自然」という王の言葉が表す心情の変化の説明として、最も適切なものを、次の①〜⑥の中から一つ選べ。
傍線部「何不舎巧而帰朴乎」は反語の表現であるが、ここで王が言おうとしていることとして最も適切なものを一つ選べ。
漢文 原文
[1] 昔、斉王好二奇巧之物一。有レ工匠献二一木鳥一。其鳥能舞能鳴、其声宛然、猶レ真鳥之善鳴者一。王大悦、置二之玉籠一、終日玩レ之。国中之工、皆倣レ之、而莫レ能レ及。
[2] 一日、王猟於郊。聞レ鶯声、清越可愛。王命レ左右捕レ之、然終不レ可レ得。王悵然。帰宮、聞二木鳥之声一、忽有レ厭然之色。謂レ左右曰、「此鳥之声雖レ巧、非レ出二於自然一。」
[3] 乃命レ破二其籠一、放レ木鳥。曰、「吾乃今知レ之。天下之至美、在二於天工一、而不在二人力一。何不レ舎レ巧而帰レ朴乎。」
書き下し文
[1] 昔、斉王奇巧の物を好む。工匠有りて一木鳥を献ず。其の鳥能く舞ひ能く鳴き、其の声宛然として、猶ほ真鳥の善く鳴く者のがごとし。王大いに悦び、之を玉籠に置き、終日之を玩ぶ。国中の工、皆之に倣ふも、能く及ぶ莫し。
[2] 一日、王郊に猟す。鶯の声を聞くに、清越にして愛すべし。王左右に命じて之を捕へしむるも、然れども終に得べからず。王悵然たり。宮に帰り、木鳥の声を聞き、忽ち厭然の色有り。左右に謂ひて曰はく、「此の鳥の声巧みなりと雖も、自然より出でたるに非ず。」と。
[3] 乃ち命じて其の籠を破り、木鳥を放つ。曰はく、「吾乃ち今之を知る。天下の至美は、天工に在りて、人力に在らざるなり。何ぞ巧を舎てて朴に帰らざるや。」と。
【注1】奇巧(きこう):珍しく、精巧に作られていること。
【注2】宛然(えんぜん):そっくりであるさま。あたかも。
【注3】清越(せいえつ):声が清く澄んで遠くまで響くさま。
【注4】悵然(ちょうぜん):がっかりして、意気消沈するさま。
【注5】天工(てんこう):自然の働き。造物主の仕事。
【注6】朴(ぼく):飾り気のない、素朴な状態。
傍線部「其声宛然、猶真鳥之善鳴者一」について、木鳥の鳴き声がどのようなものであったと説明しているか。最も適切なものを一つ選べ。
傍線部「此鳥之声雖巧、非出於自然」という王の言葉が表す心情の変化の説明として、最も適切なものを、次の①〜⑥の中から一つ選べ。
傍線部「何不舎巧而帰朴乎」は反語の表現であるが、ここで王が言おうとしていることとして最も適切なものを一つ選べ。