古文
月夜に昔を追想する中納言の憂愁
3回解答
普通
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古文
月夜に昔を追想する中納言の憂愁
3回解答
普通
月影の文《ふみ》
[1] 長月《ながつき》【注1】の空、いと澄みわたりて、月の光、庭の白砂《しらす》に映りたるは、えもいはずあはれなり。中納言、縁《えん》にひとり出でて、物思はしげなる気色《けしき》にて、空を眺め(ア)侍る。過ぎにし秋、今は中宮【注2】に仕うまつりたまふ姫君と、この月影のもとにて、言の葉を交はししことども、昨日のやうに思ひ出でらるるを、①心もとなしとや思ひけむ、付き添ひの童《わらわ》、「何事か御覧ぜらるる。」と問ひ奉る。
[2] 中納言、うち頷き、「昔のことぞ、案じをりつる。」とのたまへば、童は畏まりて控ふ。やがて、中納言、懐《ふところ》より料紙《れうし》取り出でて、墨をすらするももどかしく、筆を染め、かくぞ詠みたまひける。
月影は 昔のままに 澄めりとも 照らす人影 ②変はりにけりな
[3] この歌を、かの姫君に届けよ、とまでは思されず。ただ、言ひ放たれぬ【注3】胸の内の澱《をり》を、墨の色に託したまふ③ばかりなり。「あな、つれなしの世や。」と深きため息をつきて、その文を、見る人もなき月に向かひて、静かに広げたまふこそ、いと悲しけれ。
【注1】長月:陰暦九月のこと。秋の季節。 【注2】中宮:天皇の后《きさき》。ここでは、姫君が仕える主君。 【注3】言ひ放たれぬ:口に出して言うことができない。
【登場人物と場面】
表:場面の推移
| 段落 | 場所 | 中心人物 | 行動・心情 |
|---|---|---|---|
| [1] | 中納言の邸の縁側 | 中納言 | 秋の月を見ながら、去年会った姫君を思い出し、不安げな様子でいる。 |
| [2] | 同上 | 中納言 | 昔を案じていると述べ、感極まって和歌を詠む。 |
| [3] | 同上 | 中納言 | 歌を姫君に送ることはせず、やり場のない思いを独りで抱え、月に向かって歌を見せる。 |
傍線部①「心もとなし」とあるが、この時の童から見た中納言の様子として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部(ア)「侍る」の敬語の種類と敬意の対象の組み合わせとして最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
和歌の解釈として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
月影は 昔のままに 澄めりとも 照らす人影 変はりにけりな
傍線部②「変はりにけりな」の「けり」の文法的意味として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部③「ばかりなり」とあるが、このような行動に至った中納言の心情の説明として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
本文の内容に関する説明として適当なものを、次の群Iから二つ選んだ組み合わせとして最も適当なものを、後の選択肢から一つ選べ。
群I
月影の文《ふみ》
[1] 長月《ながつき》【注1】の空、いと澄みわたりて、月の光、庭の白砂《しらす》に映りたるは、えもいはずあはれなり。中納言、縁《えん》にひとり出でて、物思はしげなる気色《けしき》にて、空を眺め(ア)侍る。過ぎにし秋、今は中宮【注2】に仕うまつりたまふ姫君と、この月影のもとにて、言の葉を交はししことども、昨日のやうに思ひ出でらるるを、①心もとなしとや思ひけむ、付き添ひの童《わらわ》、「何事か御覧ぜらるる。」と問ひ奉る。
[2] 中納言、うち頷き、「昔のことぞ、案じをりつる。」とのたまへば、童は畏まりて控ふ。やがて、中納言、懐《ふところ》より料紙《れうし》取り出でて、墨をすらするももどかしく、筆を染め、かくぞ詠みたまひける。
月影は 昔のままに 澄めりとも 照らす人影 ②変はりにけりな
[3] この歌を、かの姫君に届けよ、とまでは思されず。ただ、言ひ放たれぬ【注3】胸の内の澱《をり》を、墨の色に託したまふ③ばかりなり。「あな、つれなしの世や。」と深きため息をつきて、その文を、見る人もなき月に向かひて、静かに広げたまふこそ、いと悲しけれ。
【注1】長月:陰暦九月のこと。秋の季節。 【注2】中宮:天皇の后《きさき》。ここでは、姫君が仕える主君。 【注3】言ひ放たれぬ:口に出して言うことができない。
【登場人物と場面】
表:場面の推移
| 段落 | 場所 | 中心人物 | 行動・心情 |
|---|---|---|---|
| [1] | 中納言の邸の縁側 | 中納言 | 秋の月を見ながら、去年会った姫君を思い出し、不安げな様子でいる。 |
| [2] | 同上 | 中納言 | 昔を案じていると述べ、感極まって和歌を詠む。 |
| [3] | 同上 | 中納言 | 歌を姫君に送ることはせず、やり場のない思いを独りで抱え、月に向かって歌を見せる。 |
傍線部①「心もとなし」とあるが、この時の童から見た中納言の様子として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部(ア)「侍る」の敬語の種類と敬意の対象の組み合わせとして最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
和歌の解釈として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
月影は 昔のままに 澄めりとも 照らす人影 変はりにけりな
傍線部②「変はりにけりな」の「けり」の文法的意味として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部③「ばかりなり」とあるが、このような行動に至った中納言の心情の説明として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
本文の内容に関する説明として適当なものを、次の群Iから二つ選んだ組み合わせとして最も適当なものを、後の選択肢から一つ選べ。
群I