古文
老いたる尼の無常観と悟りへの道
4回解答
難しい
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古文
老いたる尼の無常観と悟りへの道
4回解答
難しい
東山《ひがしやま》の草庵《さうあん》
[1] 弥生《やよひ》の末、東山の麓《ふもと》に、古りたる草庵あり。訪ふ人もまれなる所に、齢《よはひ》八十《やそぢ》に余る尼、ひとり住まひけり。ある夕暮れ、都より来たりといふ若き僧、この庵を訪ひ、一夜の宿を乞ふ。尼、こころよく迎へ入れ、粗末なる席を設く。
[2] 僧、囲炉裏《いろり》の火に手をかざしつつ、「①かかる山中に、御ひとりにては、さぞ心細くおはすらむ。都の華やかさこそ恋しからめ。」と問ひ奉る。尼、しはぶき【注1】一つして、静かに首を振り、「(ア)さにはあらず。昔は、さる栄華の巷《ちまた》にありて、明くれぬ夜を嘆き、人の心の偽りを恨み、我が身の拙《つたな》きをかこちてこそ侍りつれ。今は、②梢《こずゑ》を渡る風の音も、岩間を伝ふ水の声も、みな仏の御法《みのり》と聞こえて、心安き日々に侍る。」
[3] 僧、尼の気高き様に心打たれて、「まことに、世を厭《いと》ふ【注2】道には、さる喜びこそはべれ。されど、過ぎにし方のこと、すべて忘るるは難きわざにや。」と、なほ問ふ。尼、ほほ笑みて、
③忘られぬ 昔の雲は 晴れやらで 今も心に 雨は降りけり
と詠み、「忘るるにはあらず。許すことにこそ、安らぎはあれ。」と教へたまひけるとぞ。僧、この一言に、(イ)前途の光を得たる心地して、涙を落としはべりぬ。
【注1】しはぶき:咳《せき》。 【注2】世を厭ふ:俗世間を嫌って出家すること。
【登場人物と思想】
傍線部①「かかる山中に、御ひとりにては、さぞ心細くおはすらむ」という僧の言葉からうかがえる、僧の考え方として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部(ア)「さにはあらず」と尼が答えたのはなぜか。その理由として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
和歌(③)の解釈として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
尼の考えと、若き僧の変化に関する説明として、適当なものをそれぞれ一つずつ選んだとき、その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢から一つ選べ。
群I(尼の考え)
群II(若き僧の変化)
東山《ひがしやま》の草庵《さうあん》
[1] 弥生《やよひ》の末、東山の麓《ふもと》に、古りたる草庵あり。訪ふ人もまれなる所に、齢《よはひ》八十《やそぢ》に余る尼、ひとり住まひけり。ある夕暮れ、都より来たりといふ若き僧、この庵を訪ひ、一夜の宿を乞ふ。尼、こころよく迎へ入れ、粗末なる席を設く。
[2] 僧、囲炉裏《いろり》の火に手をかざしつつ、「①かかる山中に、御ひとりにては、さぞ心細くおはすらむ。都の華やかさこそ恋しからめ。」と問ひ奉る。尼、しはぶき【注1】一つして、静かに首を振り、「(ア)さにはあらず。昔は、さる栄華の巷《ちまた》にありて、明くれぬ夜を嘆き、人の心の偽りを恨み、我が身の拙《つたな》きをかこちてこそ侍りつれ。今は、②梢《こずゑ》を渡る風の音も、岩間を伝ふ水の声も、みな仏の御法《みのり》と聞こえて、心安き日々に侍る。」
[3] 僧、尼の気高き様に心打たれて、「まことに、世を厭《いと》ふ【注2】道には、さる喜びこそはべれ。されど、過ぎにし方のこと、すべて忘るるは難きわざにや。」と、なほ問ふ。尼、ほほ笑みて、
③忘られぬ 昔の雲は 晴れやらで 今も心に 雨は降りけり
と詠み、「忘るるにはあらず。許すことにこそ、安らぎはあれ。」と教へたまひけるとぞ。僧、この一言に、(イ)前途の光を得たる心地して、涙を落としはべりぬ。
【注1】しはぶき:咳《せき》。 【注2】世を厭ふ:俗世間を嫌って出家すること。
【登場人物と思想】
傍線部①「かかる山中に、御ひとりにては、さぞ心細くおはすらむ」という僧の言葉からうかがえる、僧の考え方として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
傍線部(ア)「さにはあらず」と尼が答えたのはなぜか。その理由として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
和歌(③)の解釈として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
尼の考えと、若き僧の変化に関する説明として、適当なものをそれぞれ一つずつ選んだとき、その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢から一つ選べ。
群I(尼の考え)
群II(若き僧の変化)