古文
菊の露に託された琴の音の謎
4回解答
普通
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古文
菊の露に託された琴の音の謎
4回解答
普通
白菊《しらぎく》の露
[1] 神無月《かんなづき》【注1】のころ、月の光、いとさやかにして、寝覚めがちなる夜、左大将家の姫君、常よりも心細くおぼされければ、(ア)人に知らせず、独り箏《さう》の琴を掻き鳴らしたまふ。その音《ね》、秋の夜の寂しさに沁み入りて、①聞く人の魂を揺さぶるばかりなり。この姫君、御年は十六、七ばかり、いまだ婿君も持たまはぬに、何事か深く物思ひに沈みたまふ気色《けしき》なるを、乳母《めのと》などは、常々案じ申しけり。
[2] 同じく、この姫君に懸想《けさう》したまふ蔵人少将《くらうどのせうしやう》あり。姫君の琴の音を一度聞かばやと思ひわたりつるが、この夜、(イ)虫の音に紛れ、大将家の築地《ついぢ》の陰に立ち寄りて、その機会を窺《うかが》ひはべりき。やがて聞こえ始めたる琴の音に、少将、②我にもあらず立ち尽くす。その音色の、ただ美しきのみならず、露けき【注2】憂ひを帯びたるに、「いかなる御心にて、かくは弾きなさるるにか」と、胸を痛めけり。
[3] 少将、夜が明けて後、庭に咲ける白菊の、露に濡れたるを一本折りて、文を結びつけ、姫君のもとへ奉《たてまつ》らしむ。その文に曰く、
琴の音に 濡れし袂《たもと》か 白菊の ③露のなさけを 分けて問はばや
[4] 姫君、この歌を御覧じて、「(ウ)誰とも知られじ」と思したれど、その風情ある筆跡と、心深き歌の様とに、「あな、にくし」と、頬を染めたまひけるとぞ。返り事はつひになかりしかど、少将は、姫君の御心の一端に触れ得たりと思ひて、いとど思ひを募らせたまひけり。
【注1】神無月:陰暦十月。 【注2】露けき:涙がちである、湿っぽい。
【補助資料:登場人物と心情】
【和歌の贈答】
| 詠み手 | 贈物 | 歌 | 歌に込めたメッセージ |
|---|---|---|---|
| 少将 | 露に濡れた白菊 | 琴の音に… | あなたの琴の音を聞いて私の袖も涙で濡れました。この白菊の露のように、あなたの涙(憂い)のわけを、どうか教えてはいただけませんか。 |
傍線部①「聞く人の魂を揺さぶるばかりなり」とあるが、姫君の琴の音はどのようなものであったか。本文の内容に即した説明として、最も適当なものを次の中から一つ選べ。
傍線部②「我にもあらず」とあるが、この時の少将の様子として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
少将の歌(③)の解釈として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
本文中の人物の行動と思いを説明したものとして、適当なものを群Iから、不適当なものを群IIから、それぞれ一つずつ選んだとき、その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢から一つ選べ。
群I(適当なもの)
群II(不適当なもの)
白菊《しらぎく》の露
[1] 神無月《かんなづき》【注1】のころ、月の光、いとさやかにして、寝覚めがちなる夜、左大将家の姫君、常よりも心細くおぼされければ、(ア)人に知らせず、独り箏《さう》の琴を掻き鳴らしたまふ。その音《ね》、秋の夜の寂しさに沁み入りて、①聞く人の魂を揺さぶるばかりなり。この姫君、御年は十六、七ばかり、いまだ婿君も持たまはぬに、何事か深く物思ひに沈みたまふ気色《けしき》なるを、乳母《めのと》などは、常々案じ申しけり。
[2] 同じく、この姫君に懸想《けさう》したまふ蔵人少将《くらうどのせうしやう》あり。姫君の琴の音を一度聞かばやと思ひわたりつるが、この夜、(イ)虫の音に紛れ、大将家の築地《ついぢ》の陰に立ち寄りて、その機会を窺《うかが》ひはべりき。やがて聞こえ始めたる琴の音に、少将、②我にもあらず立ち尽くす。その音色の、ただ美しきのみならず、露けき【注2】憂ひを帯びたるに、「いかなる御心にて、かくは弾きなさるるにか」と、胸を痛めけり。
[3] 少将、夜が明けて後、庭に咲ける白菊の、露に濡れたるを一本折りて、文を結びつけ、姫君のもとへ奉《たてまつ》らしむ。その文に曰く、
琴の音に 濡れし袂《たもと》か 白菊の ③露のなさけを 分けて問はばや
[4] 姫君、この歌を御覧じて、「(ウ)誰とも知られじ」と思したれど、その風情ある筆跡と、心深き歌の様とに、「あな、にくし」と、頬を染めたまひけるとぞ。返り事はつひになかりしかど、少将は、姫君の御心の一端に触れ得たりと思ひて、いとど思ひを募らせたまひけり。
【注1】神無月:陰暦十月。 【注2】露けき:涙がちである、湿っぽい。
【補助資料:登場人物と心情】
【和歌の贈答】
| 詠み手 | 贈物 | 歌 | 歌に込めたメッセージ |
|---|---|---|---|
| 少将 | 露に濡れた白菊 | 琴の音に… | あなたの琴の音を聞いて私の袖も涙で濡れました。この白菊の露のように、あなたの涙(憂い)のわけを、どうか教えてはいただけませんか。 |
傍線部①「聞く人の魂を揺さぶるばかりなり」とあるが、姫君の琴の音はどのようなものであったか。本文の内容に即した説明として、最も適当なものを次の中から一つ選べ。
傍線部②「我にもあらず」とあるが、この時の少将の様子として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
少将の歌(③)の解釈として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
本文中の人物の行動と思いを説明したものとして、適当なものを群Iから、不適当なものを群IIから、それぞれ一つずつ選んだとき、その組合せとして最も適当なものを、後の選択肢から一つ選べ。
群I(適当なもの)
群II(不適当なもの)