漢文 原文
[1] 魯哀公問二於孔子一曰、「楽、何為而作。」孔子対曰、「夫楽者、所以動レ人心、而成二風俗一者也。先王以レ之治レ国、而未レ嘗不レ善。」
[2] 公曰、「今之楽、何如。」対曰、「今之楽、鄭衛之音也。其声淫靡、使レ人縦レ情而忘レ正。非レ所以導レ民、乃所以乱レ徳也。国之将レ亡、其音必哀以思。臣、非レ敢レ好レ古、乃憂レ今也。」
[3] 公不レ然之。曰、「楽者、楽也。豈有二治乱之別一乎。」孔子曰、「不然。夫楽、生二於人心一。人心之動、物使之然也。盍反二其本一而察レ之乎。声音之道、与レ政通矣。」
書き下し文
[1] 魯の哀公、孔子に問ひて曰はく、「楽は何為れぞ而して作れるか。」と。孔子対へて曰はく、「夫れ楽とは、人心を動かし、風俗を成す所以の者なり。先王之を以て国を治むるに、未だ嘗て善からざらず。」と。
[2] 公曰はく、「今の楽は、何如。」と。対へて曰はく、「今の楽は、鄭衛の音なり。其の声淫靡にして、人をして情を縦にして正を忘れしむ。民を導く所以に非ず、乃ち徳を乱る所以なり。国の将に亡びんとするや、其の音必ず哀しくして以て思ふ。臣、敢へて古を好むに非ず、乃ち今を憂ふるなり。」と。
[3] 公之を然りとせず。曰はく、「楽は、楽なり。豈に治乱の別有らんや。」と。孔子曰はく、「然らず。夫れ楽は、人心に生ず。人心の動は、物之をして然らしむるなり。盍ぞ其の本に反りて之を察せざるや。声音の道は、政と通ず。」と。
【注1】先王(せんのう):古代の聖王。理想的な為政者とされる。
【注2】鄭衛の音(ていえいのおん):春秋時代、鄭国と衛国で流行したとされる、享楽的で人の心を乱す音楽。
【注3】淫靡(いんび):みだらでなまめかしいさま。
【注4】盍ぞ…ざるや(なんぞ…ざるや):反語の形。「どうして〜しないのか、〜すればよい」。
傍線部「未嘗不善」の解釈として最も適切なものを一つ選べ。
孔子が「今の楽」である「鄭衛の音」を批判している理由として、最も適切なものを一つ選べ。
傍線部「盍反其本而察之乎」は反語表現であるが、これを踏まえて、孔子が哀公に促していることとして最も適切なものを一つ選べ。
孔子が「声音之道、与政通矣(音楽のあり方は、政治と通じている)」と結論づける論理の骨子として、最も適切なものを一つ選べ。
漢文 原文
[1] 魯哀公問二於孔子一曰、「楽、何為而作。」孔子対曰、「夫楽者、所以動レ人心、而成二風俗一者也。先王以レ之治レ国、而未レ嘗不レ善。」
[2] 公曰、「今之楽、何如。」対曰、「今之楽、鄭衛之音也。其声淫靡、使レ人縦レ情而忘レ正。非レ所以導レ民、乃所以乱レ徳也。国之将レ亡、其音必哀以思。臣、非レ敢レ好レ古、乃憂レ今也。」
[3] 公不レ然之。曰、「楽者、楽也。豈有二治乱之別一乎。」孔子曰、「不然。夫楽、生二於人心一。人心之動、物使之然也。盍反二其本一而察レ之乎。声音之道、与レ政通矣。」
書き下し文
[1] 魯の哀公、孔子に問ひて曰はく、「楽は何為れぞ而して作れるか。」と。孔子対へて曰はく、「夫れ楽とは、人心を動かし、風俗を成す所以の者なり。先王之を以て国を治むるに、未だ嘗て善からざらず。」と。
[2] 公曰はく、「今の楽は、何如。」と。対へて曰はく、「今の楽は、鄭衛の音なり。其の声淫靡にして、人をして情を縦にして正を忘れしむ。民を導く所以に非ず、乃ち徳を乱る所以なり。国の将に亡びんとするや、其の音必ず哀しくして以て思ふ。臣、敢へて古を好むに非ず、乃ち今を憂ふるなり。」と。
[3] 公之を然りとせず。曰はく、「楽は、楽なり。豈に治乱の別有らんや。」と。孔子曰はく、「然らず。夫れ楽は、人心に生ず。人心の動は、物之をして然らしむるなり。盍ぞ其の本に反りて之を察せざるや。声音の道は、政と通ず。」と。
【注1】先王(せんのう):古代の聖王。理想的な為政者とされる。
【注2】鄭衛の音(ていえいのおん):春秋時代、鄭国と衛国で流行したとされる、享楽的で人の心を乱す音楽。
【注3】淫靡(いんび):みだらでなまめかしいさま。
【注4】盍ぞ…ざるや(なんぞ…ざるや):反語の形。「どうして〜しないのか、〜すればよい」。
傍線部「未嘗不善」の解釈として最も適切なものを一つ選べ。
孔子が「今の楽」である「鄭衛の音」を批判している理由として、最も適切なものを一つ選べ。
傍線部「盍反其本而察之乎」は反語表現であるが、これを踏まえて、孔子が哀公に促していることとして最も適切なものを一つ選べ。
孔子が「声音之道、与政通矣(音楽のあり方は、政治と通じている)」と結論づける論理の骨子として、最も適切なものを一つ選べ。